先端研の研究領域
衛星リモートセンシング
地球観測衛星によるリモートセンシングは、地球の上空を周回する人工衛星から陸海空の様々な情報を取得する技術です。
アジア航測は、Landsat1号衛星が打ち上がった1970年代から衛星画像解析技術の開発を進め、政府や自治体の事業や、国の研究機関による検討業務に古くから携わってきた実績があります。
衛星画像解析の中では、特に、光学衛星画像解析、合成開口レーダ衛星データ解析、ハイパースペクトル画像解析に力を入れています。
光学衛星画像解析
光学衛星解析は、陸域から水域まで、森林、環境、サンゴ礁、藻場、水深推定など最先端の技術を保有しています。
【解析事例】
- ・土砂災害抽出
- ・建物被害抽出
- ・植生/土地利用/土地被覆分布図
- ・藻場・サンゴ礁分布図
- ・水深推定
災害発生後の衛星画像から2018年9月に発生した北海道胆振東部地震による土砂移動域を抽出
※この技術は国土交通省の平成29年度建設技術研究開発助成制度による開発費補助金を受けて実施した研究成果の一部を利用したものです
合成開口レーダー衛星データ解析
合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)は、マイクロ波を用いて地表を観測する能動型センサで、天候や昼夜に関係なく高解像度画像を取得できます。特に、災害開始や地殻変動の検出などに活用されています。
【解析事例】
- ・土砂移動解析
- ・地殻変動
SAR衛星による干渉SAR時系列解析の紹介動画です。羽田空港を対象とした解析結果をWeb GISにまとめています。一点々の変位速度や、過去の変位の履歴を持っており、滑走路の一部に沈下傾向が見られます。
2020年10月に陥没事故が発生した東京外かく環状道路のトンネル工事付近の変位速度・変位履歴データです。直近では顕著な変位は見られず安定しているようです。
レインボーブリッジ周辺を対象にした干渉SAR時系列解析の結果です。地盤の変位はみられません。
衛星ハイパースペクトル解析
ハイパースペクトル衛星とは、マルチスペクトルのように特定の波長帯のみで構成されず、短い波長幅で波長情報を連続的に捉えることができるため、詳細な情報を得ることができます。一方で扱い方が困難であることや衛星ハイパースペクトルセンサが比較的に少ないことから、現時点では多く利用されていない状態です。
衛星ハイパースペクトル解析は、旧ERSDAC(現、宇宙システム開発利用推進機構)の環境分野における衛星ハイパースペクトル利用実証に長年にわたり協力して参りました。
【解析事例】
- ・サンゴ礁分類
- ・水深推定
- ・草地における収量・草種の生育状況推定
- ・土壌塩分推定
宇宙実証用ハイパースペクトルセンサHISUIを用いて西オーストラリア州の土壌塩分を推定
光学マルチスペクトル衛星でも水深推定は可能ですが、ハイパースペクトル衛星を使うことで真値データを使わずに推定が可能